「幸田露伴『断腸亭日乗』を称する」

永井永光,水野恵美子,坂本真典『永井荷風 ひとり暮らしの贅沢』(とんぼの本)新潮社
 荷風の転居と前後して、幸田露伴も病身ながら、伊東から市川の菅野に移り住んでいた。露伴は荷風の『濹東綺譚』を読み、「涼しい文章だよ」とある編集者相手に褒めたという。そして娘の幸田文に、これは読むようにとすすめた唯一の小説だった。(72頁)