中井久夫「看護できない患者はいない」
「看護できない患者はいない」
看護という職業は,医者よりもはるかに古く,はるかにしっかりとした基盤の上に立っている。医者が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない。息を引き取るまで,看護だけはできるのだ。
病気の診断がつく患者も,思うほど多くない。診断がつかないとき,医者は困る。あせる。あせらないほうがよいと思うが,やはり,あせる。しかし,看護は,診断をこえたものである。「病める人であること」「生きるうえで心身の不自由な人」──看護にとってそれでほとんど十分なのである。実際,医者の治療行為はよく遅れるが,看護は病院に患者が足を踏み入れた,そのときからもう始まっている。
『中井久夫の臨床作法』日本評論社
◇2015/09/09 に出版されたばかりのムックです。
「精神科医・中井久夫が患者と家族に接する流儀は、絶望の淵にある人びとの治療への士気を高め、「希望」を処方することだった──その卓越した治療観から学んだ人びとによる中井流対人作法のエッセイ決定版!」◇ 以下「エントリーシート_05」です。
◇ 2015年 / N大学・看護学部・看護学科
母が勤める病院の師長さんから一枚のコピーを頂きました。高校3年生の夏のことでした。「医者が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない。」中井久夫先生の『看護のための精神医学』の冒頭部分のコピーでした。漠然として抱いていた看護への道が、確かな信念に変わりました。説明会にお邪魔させて頂いた際には、新設される看護学部に寄せる先生方の情熱を感じました。時代が求める「国際看護学」や数々の「強化プログラム」、「終末期看護学」の受講等々、あれもこれもという欲張りな夢を描いています。N大学 看護学部 看護学科でなければ決してかなわない贅沢な希望を抱いています。
◇自己PR(大学に入学するまで努力してきたこと)について記入してください。これまでの学校内外における活動(クラブ活動、生徒会活動、ボランティア活動など)のなかで、あなたが果たした役割や感じたこと、資格取得、特技を身につけるなかで学んだこと、努力したことなどについて記入してください。