白洲正子「自然に拝みたくなりました」

白洲正子,牧山桂子 ほか『白洲正子と歩く京都』(とんぼの本)新潮社(68頁)

 仏像に関する知識などまるでないので、ぼんやり眺めているだけでしたが、やはりほんとうに美しい仏さまは、ただ美しいというだけで、自然に拝みたくなりました。これは当たり前のことでしょう。
(『私の古寺巡礼』「古寺を訪ねる心ーはしがきにかえて」より抜粋)

 巡礼をするということは大変なことなのよ。信仰もないのに観音さんを拝んでまわったりしていいのかしらと思って、観音巡礼に関する本を色々読んでみたんだけど、ただ歩けばいいんだと書いてあるのよ、信仰がなくてもいいと。それで実際に歩いてみると信仰というものは後からついて来るもので、先にあるものじゃないってことがわかった。もし先にあったらそれは観念なのよ。(中略)神の存在、神は自分の中にあるということがすごくわかったんです。
(『おとこ友達との会話』「自分の時間」より抜粋)