「聴くということ」


◇以下「エントリーシート_04」です。
◇2014年 / K大学・人間福祉学部・人間科学科 
 私は貴学の人間科学科で、生を見つめ死を思うことによって、私の人間理解の一助にしたいと思っています。
 カウンセリングといい、ターミナルケアや自助グループでのファシリテーターといい、心理臨床の基礎をなすものは来談者の方のお話に真摯に耳を傾けるという姿勢であると私は思っています。聴くことで人が変容するという事実は、聴き方如何によっては来談者の方の変容の仕方に差異が生じることを意味しています。心理臨床の場においては何より聴く力が試されます。そこでは自分の力量以上の来談者の方の変容は認められないという厳しい現実があります。
 今仮に映画やテレビ・ラジオドラマ等のシナリオ、演劇の台本等々の書き言葉(台詞)を「言語」。声色や顔の表情・身振り手振り等を含めた、書き言葉(台詞)が実際に発語された際の話し言葉を「ことば」とするならば、「言語」と「ことば」の関係は、音楽でいう「楽譜」と「演奏」の関係とよく似ている。「演奏」は一回限りのものであり、指揮者の数だけ解釈があり、演奏者の数だけ曲がある。「ことば」は意味の乗り物であると同時に感情の乗り物でもあり、「言語」が「ことば」の形をとったとき、そこには無数の感情の表出がある。私は人間科学科で、細心の注意を払って「ことば」を聴く訓練をしたいと思っています。クライアントさんの「ことば」に静かに耳を澄ませ、クライアントさんの今を受容する態度を身につけたいと思っています。 
 私が目指すことは貴学のモットーであるmastery for service(奉仕のための練達)を体現するものであると自負しています。山の裾野は広くその頂は高く険しいものですが、貴学の人間科学科でゆるぎない基礎を学び、生涯にわたってこの課題と向き合っていきたいと思っています。
「聴く」ことに練達することで、将来はこころのケアもできる保健体育の教師として社会の一隅をしっかりと照らしたいと思っています。

下記、「塾・ひのくるま / 随想」 のHPです。
http://www.tees.ne.jp/~hinokuruma/pensee/