長新太『ブタヤマさんたらブタヤマさん』文研出版_01



ブタヤマさんは
チョウを とるのに
むちゅうです

うしろから
なにがきても
わかりません

三つ目のおばけが出てきても
大きな鳥がお尻をつつかんばかりに迫って
きても
セミにおしっこをかけられそうになっても
海から

「ザブ
ザブ ザブ ザブ」
と、サカナが飛び出てきても
ブタヤマさんは一向に気がつきません。

ブタヤマさんたら

ブタヤマさん
うしろをみてよ
ブタヤマさん

「なあに どうしたの

なにか ごよう」と
ブタヤマさんが いいました
うしろには なにもいません


ブタヤマさんは

また チョウを とりにでかけます
かぜが そよそよと
ふいているのでした


河合隼雄さんの臨床心理学者としての「読み」が書かれている文章を探しています。

およその目星はついています。今しばらくお待ちください。

以下、うろ覚えの知識で記したものです。

ブタヤマさんはチョウを追いかけて先に先へと急ぎます。チョウはギリシア語でプシケーというそうです。またプシケーには魂の意もあるそうです。ブタヤマさんは、チョウという名の自分の魂を探す旅をしている、と河合隼雄さんは書かれています。そして、魂を探す旅には常に危険がともなうものであるとも言われています。

こんな風にこの絵本を読む人がいるのかと思うと驚きます。「子どもたちの心の奥底に届く絵本」と河合隼雄先生は書かれていたと思います。