鷲田清一「聴くということ」
平積みの本の中に、河合隼雄,鷲田清一『臨床とことば』朝日文庫を見つけました。全く記憶にない本でした。「鷲田清一」、どこかで聞いたことのある名前でした。調べてみると、光村図書出版の中学三年生の国語の教科書『国語 3』に、鷲田清一さんの書かれた「聴くということ」と題する文章が載っていました。ゆとり教育の弊害が盛んに云々され、新学習指導要領に移行した四年前の教科書にはじめて採用された文章です。
「聴くということ」を読むたびに、いったい鷲田清一さんという人は、臨床経験があるんだろうか、といつも疑問に思っていました。そして、この文章は子どもたちにというよりも、先生方や家族の方たちに読んでいただきたいな、と思っていました。
文庫の帯に鎌田實さんが、「臨床哲学と臨床心理学という二人の横綱の名勝負は、リズムよく、わかりやすく、ときに詩的で、感動的であった。」と書かれています。また、「臨床の知」という言葉もあります。
私の持っている文庫は、2010年4月30日に出版された朝日文庫の初版本です。当時 鷲田清一さんは大阪大学の総長をやられていました。今になって知ったことばかりです。教科書に載っている、横山ノックさんに似た写真のオジ様には、うかつにも今まで全く無関心でした。