如月小春「渡岸寺 十一面観音 湖北」 その一

向源寺の十一面観音に寄せた、如月小春さんのエッセイ「春 観音さまが笑った」を読み返したくて、NHK取材班『NHK 国宝への旅〈1〉』日本放送出版協会 を買い直しました。散逸してしまった書籍の内の一冊です。

学生時代 キャンパス内で如月小春さんの講演をお聴きする機会がありました。何十となく演劇のサークルがある早稲田で学生時代を過ごしたならば、私は演劇の道には進まなかったような気がしています、東京女子大で過ごしたからこそ演劇の道を選んだのだと思います、とおっしゃられていました。他のお話の内容についてはすっかり忘れてしまいました。しかし、如月小春さんの「渡岸寺の観音さま」についてのエッセイ
「春 観音さまが笑った」のことは忘れようにも忘れようがありません。


幾度となく「渡岸寺の観音さま」を拝観しました。もう十回近くになるかと思います。如月小春さんのエッセイ「春 観音さまが笑った」がご縁で、私は「渡岸寺の観音さま」のことを知り、その後たびたび足をはこぶようになりました。如月小春さんは若くして急逝され、そのずっと後になって、私は如月小春さんの訃報に接しました。それ以来「渡岸寺の観音さま」は常に如月小春さんとともにあります。「渡岸寺の観音さま」を観ては、如月小春さんをしのび、如月小春さんをしのんでは、「渡岸寺の観音さま」に思いをはせています。