武満徹「小さな空」
小さな空
青空みたら
綿のような雲が
悲しみをのせて
飛んでいった
飛んでいった
いたずらが過ぎて
叱られて泣いた
叱られて泣いた
こどもの頃を憶(おも)いだした
夕空みたら
教会の窓の
教会の窓の
ステンドグラスが
赫(まっか)に燃えてた
赫(まっか)に燃えてた
いたずらが過ぎて
叱られて泣いた
叱られて泣いた
こどもの頃を憶(おも)いだした
夜空をみたら
小さな星が
小さな星が
涙のように
光っていた
光っていた
いたずらが過ぎて
叱られて泣いた
叱られて泣いた