谷川俊太郎「春に」その二


中二生の二人の女の子たちが合唱コンクールで歌う自由曲を口ずさんでいました。聞くともなしに聞いていました。聞き覚えのある詞だなと思い、訊くとやはり谷川俊太郎さんの詩「春に」でした。

武満徹さんが谷川俊太郎さんの詩に曲をつけられた、幾つかの歌が収録されている、

石川セリ「翼 武満徹ポップ・ソングス」
を思い出しました。

筑紫哲也さんがキャスターを務められていた「NEWS 23」のエンディング・テーマ
に、石川セリさんが歌う『翼』が流れていた時期があります。調べると1997年4月から1997年6月にかけてのことで、当時渡辺真理さんが第二部のサブキャスターを担当されていました。早速ヤマト楽器さんに、石川セリさんが歌う「翼 武満徹ポップ・ソングス」を買いにいったことを思い出します。開塾二年目の春のことでした。

武満徹さん「作詞」・作曲の歌を前にして、谷川俊太郎さん「作詩」・武満徹さん作曲の歌はかすんで見えます。谷川俊太郎さんは「詞」になることを想い「詩」を書いたわけではありませんから、それは当然のなりゆきなのかもしれません。詩が曲をまとい詞となり、演奏され歌われると、こんなにも愉快で幸せなことが起こるものなのかと感心してしまいます。純一で無雑な曲は、高く澄みわたった秋の空を連想させます。さっそく、「翼 武満徹ポップ・ソングス」を聴きながら、芸術の秋、芸術鑑賞の秋、にひたりたいと思っています。


一つのことをきっかけとして、いろいろな思い出にふけっています。そして、それらはインターネットで検索するすることによって、広がりをみせ深まり、より正確なものになっていきます。個人の思い出までをも左右する、ネット社会に驚異を感じています。引き続き、「思いにふける秋」を楽しもうと思っています。