小林秀雄「無常」ということ

小林秀雄『私の人生観』大和出版 

諸行無常という言葉も、誤解されている様です。現代人だから誤解するのではない、昔から誤解されていた。平家にある様に「おごれる人も久しからず、唯春の世の夢の如し」そういう風に、つまり「盛者必衰のことわりを示す」ものと誤解されて来た。太田道灌がまだ若い頃、何事につけ心おごれる様があったのを、父親が苦が苦がしく思い、おごれる人も久からず、と書いて与えたところが、道灌は、早速筆をとって、横に、おごらざらる人も久しからず、と書いたという逸話があります。(27頁)

諸行は無常であり、万物は流転する、私も誤解していたうちの一人です。

この書籍のカバーには、
「又、知識がどんなにあっても、優しい感情を持つとは、物事をよく感ずる心を持っている人ではありませんか。」
の一文の最後の一文字、「か」が脱落しており、
「人ではありません。」
と、表記されています。

腑に落ちず、しばらく考えた末に本文に当たってみると「か」が記されており、安心しました。