ただ「積んでおく」だけという読書のすすめ
本との出会いは一回こっきりのもので、その点で人の出会いと似ています。
「積読」とは、読まずにただ「積んでおく」だけという「読書」です。「積んでおく」ことは、ないがしろにすることのできない立派な「読書」です。
今ではPCの中に何でも「しまっておく」ことが多くなりましたが、「つんでおく」ことと「しまっておく」ことの意味はおよそ異なっています。常に人目にさらされているのか、いないのか、本に関して言えば、「つんでおく」のと「しまっておく」のとでは、「本のタイトル」を目にする回数が圧倒的に違います。
インターネットで本を購入することが常態となった、ものぐさな私は、書店に足を運ばなくなりました。図書館にも通わなくなりました。おかげで本との一期一会の出会いがめっきり減ってしまいました。悲しむべきことには、自分の興味のない、自分の関心のない分野の本とは無縁になってしまいました。大きな痛手です。
日がな本の背を眺める毎日を送っていると、やがて機が熟し、収穫の日がやってくることがあります。自分が待ち、本が待ちこがれていた日です。収穫の季節がやってこなかったらこなかったで、それはそれで仕方のないことです。
気になった本は、身銭を切って買ってください。本はいつまでもあなたのことを待っていてくれるとはかぎりません。
身銭を切ることが肝要です。やはり何ごとをするにつけても授業料が必要ですが、高すぎる授業料だけは払わないように、くれぐれも注意してください。
私自身もそうでしたが、学生さんたちは、「積読」をするには、経済的に困難な環境に置かれていると思います。が、ぜひその意気込みだけはもち続けていてください。その心意気なしには、将来の「積読」はありえません。
To be continued.