「拝復 P教授様_『ああもだえの子』です」


皮膚科受診後、いまマッターホーン(ケーキ屋)さんの喫茶室にいます。完治するまでには、なお二週間ほどかかるそうです。紫煙をくゆらせています。紫煙の向こうには、意気軒昂、時代を先駆けるP教授の後ろ姿がかすんで見えます。見失わないように、トップスピードで後を追います。

地方都市の田舎町で、たとえば、
われ男(お)の子意気の子名の子つるぎの子詩の子恋の子ああもだえの子
などと、鉄幹の歌でも口ずさめば、ついに気がふれたかと思われるのが関の山です。閉鎖病棟内を外と考えれば、私たちは檻の中に棲んでいることになり、内と外とはいともたやすく交代します。もし僕の生き方に病名がつけば、いまの時代の精神医学を恨めしく思いながらも、すなおにしたがう心づもりはしています。内外はいよいよ未分化の、混沌とした様相をていしていることを実見し、納得するにいたるだろうと、手に負えないかゆみも多分に手伝って、愚にもつかないことを考えています。田舎町には地方色豊かな檻があります。手枷、足枷があります。「ああもだえの子」の救いは、「社会の窓」は、P教授の意気盛んな高い志とインターネットの環境の整ったいまの時代に生まれあわせたことです。

耳鼻咽喉科しかり、皮膚科しかり、平日の午前中の待合室は、幼児を連れたお母さん方ばかりが目立ち、驚いています。

では、では。
時節柄くれぐれもご自愛ください。
TAKE IT EASY!
FROM HONDA WITH LOVE.


追記:
P教授からのメールには、より気概のある気骨のある、直截的で明解な言葉が記されていましたが、思うところあって、私がよろしく与謝野鉄幹の短歌におきかえました。