倉本聰「僕は男が好きである。特に中年が好きである」
「僕は男が好きである。特に中年が好きである。何といっても中年男には、青年の活気を粧いつつ、その実内心肉体の衰えを察知しているーー裏返していうなら、察知しているのに必死にかくしてつっぱっているーー男の原点たる愛らしさがある。
この作品〈『ばんえい』(1)〉のモチーフは、父が息子に体力的に敗北する日ーーということである。同じこのモチーフを僕はこの前年 NHKBK の『ぜんまい仕掛けの柱時計』(2) でも書き、別の作品でも扱った。これからもまだまだ厚かましく扱うつもりでいる。」(3)
(1) 倉本聰『倉本聰コレクション8 幻の町』(理論社、一九八三年)、所収。
(2) 倉本聰『倉本聰コレクション16 坂部ぎんさんを探してください』(理論社、一九八四年)、所収。
(3) 倉本聰「ばんえい ●記」(倉本、前掲『倉本聰テレビドラマ集1 うちのホンカン』一五七頁)。
「倉本聰私論 ー『北の国から』のささやきー」
「第二章 5. 男であること」(14/21)より。