倉本聰「偉大なる平凡人になれ」
「こったらコツコツ働いていれば人間だんだん謙虚になる」。(註)
『北の国から』の主だった登場人物たちは、日常の人である。大自然と袖触れ合わせ、手を汚し、額に汗して黙々と仕事にいそしむ「謙虚」な人たちである。
彼らには知的な鋭さはないが、人をみる目の確かさがある。人をあたたかく包みこむ大きさがある。しなやかさがある。純朴にして無私、無欲。いやみのない個性をもち合わせた人たちである。どこをとっても憎めない愛すべき人々である。
C・W ニコルは、富良野塾の塾生たちを「クリン・アンド・クリア」であると評した。
倉本聰は、塾生に対して「偉大なる平凡人になれ」という。
「クリン・アンド・クリア」。
「偉大なる平凡人」。
『北の国から』の主だった作中人物たちは、こんなことばがぴったりの人々である。
(註)
倉本聰『北の国から 前編』理論社(三六頁)
「倉本聰私論 ー『北の国から』のささやきー」
「第二章 6. まとめ」(15/21)より。
「倉本聰私論 ー『北の国から』のささやきー」
「第二章 6. まとめ」(15/21)より。