東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」(全)
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」その一
2015/11/04
私にはテレビを見る習慣がありません。PCで見るということもしません。同じ敷地内で別棟に暮らす父のところに行った際に、父が見ているテレビ番組を目にすることはあります。時には、その番組を見入ることもあります。私はテレビをたまたま目にし、偶然に見ます。この偶然の、たまたまのテレビに予感めいたものを感じるときがあります。
昨日の昼時、父に頼まれたテレビ番組の録画予約をしようと、テレビの前に座りこんでリモコンを操作していると、東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」の映像が流れてきました。すべての動作を中断して、見入り、聞き入ってしまいました。釘づけになり、動けなくなってしまいました。胸の前に掲げられた一輪のガーベラの花がとても印象的でした。フィギュアスケートの羽生結弦さんが、被災した仙台のアイスリンクで「花は咲く」に振りつけをつけている、そんないくつかの場面を何年か前に見たことがあり、「花は咲く」の存在を全く知らなかったわけではありません。
その後、「花は咲く」一色の文化の日を過ごしました。感慨さめやらず、今もなおそれは進行中です。
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」その二
2015/11/05
はじめに中村雅俊さんが歌われ、そしてそれは、さとう宗幸さんへと歌い継がれ…。十年ぶり、二十年ぶり、あるいはそれ以上の年月をおいて拝見した出演者の方たちが何人もいらっしゃいました。インターネットで検索してはじめて、名前と顔が結びついた方たちもいらっしゃいました。時の刻まれた顔をただ茫然として見つめていました。人の老い、ということを思いました。人の老いから人の死への道のりは遠いものではありませんでした。また、祈りということにも思いをいたしました。
自分の部屋にもどって、花は咲くプロジェクト「花は咲く」と Members from The Little Singers of Tokyo「花は咲く」を求めました。また、動画を探し、出演者を検索しました。そして、花の名を調べました。
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」その三
2015/11/05
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」は、一つの歌を、鈴木京香さんを含め三十四人の有志の方々で歌い継いでいくという格好をとっています。そのために、各フレーズは、詞の中の一節というよりも、独立したものであって、そのフレーズを歌う一人ひとりの詞、一つ一つの歌であるように聞こえます。個々の歌は、歌い手本人の内から発せられた、東日本大震災によせる、極めてプライベートな声になっています。そして、それらの声は、一輪のガーベラの花によって結ばれ、「花は咲く」という全体をなしています。
歌は時に、東日本大震災によせる歌い手の思いであると同時に、「自分に向けられた内なる声」であるように聞こえることもあります。
叶えたい 夢もあった
変わりたい 自分もいた
傷ついて 傷つけて
報われず 泣いたりして
西田敏行さんや野村克也さん、梅沢富美男さんの歌う「わたしは何を残しただろう」は、西田敏行さんや野村克也さん、また梅沢富美男さんの、東日本大震災への思いも含めた、ご自身の歩んでこられた人生への自問であって、しかも、「いざ立ち止まってふり返ってみたとき、自分は何も残さなかったような気がしてならない」という哀しい自答のように思えてなりません。
以来、私は、「花は咲く」を聴きながら、あるいは観ながら、老いについて、死について、祈りということについて、そして生について、人であることの哀しみについて思いをめぐらせています。
一昨日の昼時以降、私はこの哀しみに射すくめられ、からめ取られてしまっています。この哀しみは、東日本大震災で被災された方々が心の内に秘められている哀しみ、亡くなられた方々が今なお抱き続けられているであろう哀しみに通じるものであると思っています。
そして、この哀しみから解かれるためには、この哀しみのなかに深く沈潜するしかないような気がしています。
私は、今まで東日本大震災について真剣に考えてこなかったような気がしています。東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」プロジェクトに参加された有志の方々や関係者の方たちに、今 重い課題を突きつけられているように感じています。一輪のガーベラの花にたくされた思いをよく考えてみたいと思っています。
TWEET「今日もまた小春日和です」
2015/11/06
今日もまた小春日和です。
三日もこうした小春日和が続くと、これから迎える冬を思うことができなくなります。
NHKサービスセンター ネットショップに『CD+DVD NHK「明日へ」東日本大震災復興支援ソング 花は咲く』を注文しました。特典映像の『「花は咲く」を録る、撮る。制作現場密着映像』が観たかったからです。高音質の「花は咲く」を聴きたかったからです。高画質の「花は咲く」が観たかったからです。
今日の小春日和にもまた、「花は咲く」です。
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」その四
2015/11/11
昨夕、『CD+DVD NHK「明日へ」東日本大震災復興支援ソング 花は咲く』が届きました。
音源をそのままに丁寧にMacに取り込み、PCオーディオで聴きました。MP4に圧縮された曲とは別物です。厚みが違います。この厚みの部分に歌い手の感情の表出があり、この情報の抜け落ちた曲は、どうしても浅薄に聴こえてしまいます。「音」を聴くのか、「音楽」を聴くのかということにもなりますが、ある程度の「音」で聞かないと「楽しみ」が半減してしまいます。
特典映像のDVD『「花は咲く」を録る、撮る。10日間の制作現場密着映像』を観て、「録る、撮る」の意味がわかりました。ずっと気になっていました。「録る」と「撮る」とは別々に収録されていたんですね。
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」その五
2015/11/12
はじめに中村雅俊さんが歌われ、そしてそれは、さとう宗幸さんへと歌い継がれ…。十年ぶり、二十年ぶりに、あるいはそれ以上の年月をおいて拝見した出演者の方たちが何人もいらっしゃいました。インターネットで検索してはじめて、名前と顔が結びついた方たちもいらっしゃいました。時の刻まれた顔をただ茫然として見つめていました。人の老い、ということを思いました。人の老いから人の死への道のりは遠いものではありませんでした。また、祈りということにも思いをいたしました。
中村雅俊さん
「真っ白な 雪道に 春風香る」
はじめてテレビで拝見したとき、私は中村雅俊さんの首元にばかり目をやっていました。首元に感じられる老いを悲痛な思いで見つめていました。
新沼謙治さん
「花は 花は 花は咲く」
それは新沼謙治さんについても同じことでした。首元にどうしようもなく老いを感じ、人の老いということに思いをいたさざるをえませんでした。
千昌夫さん
「花は 花は 花は咲く」
梅沢富美男さん
「わたしは何を残しただろう」
千昌夫さんと梅沢富美男さんは、インターネットで検索してはじめて、名前と顔が結びつきました。梅沢富美男さんの今の顔と、「夢芝居」を歌う当時の姿とは容易には結びつきませんでした。
秋吉久美子さん
「傷ついて 傷つけて」
何度拝見しても、女子高生のような感じを受けます。歳を重ねるたびに、秋吉久美子さんは若返っているのでしょうか。
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」その六
2015/11/12
はじめて拝見した方々のほんの何人かの方たちですが…。
由規さん
「誰かの想いが見える
誰かと結ばれてる」
この、いかにも真面目そうで、いかにも誠実そうで、飾りっ気のない子は、いったいどういう子なんだろう。芸能界に席を置く子とはとても思えないし、とずっと気になっていました。ヤクルトスワローズの投手だったんですね。と、わかっても、マウンド上での勇姿は想像し難く…。思わず応援したくなってしまいました。応援します。応援しています。
遊佐未森さん
「いつか生まれる君に」
遊佐未森さんのこともはじめて知りました。声からも姿からも優しさが伝わってきます。すてきですね。
イケメン’ズさん
「変わりたい 自分もいた」
イケメン’ズのお二人は収録後に、菅野よう子さんの、
「(被災地へは)結構行かれているんですか?」
との問いかけに対して、
「めっちゃ行ってます」
と元気に答えていらっしゃいます。イケてます!!これからも被災地の皆さんの心の支えになっていただきたいなって思っています。
マギー審司さん
「花は 花は 花は咲く」
収録を終えてスタジオを後にする際の、マギー審司さんの配慮の行きとどいた挨拶は、立派です。こういった若者がいることを心強くも思い、また安心もします。
東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」その七
2015/11/12
本田武史さん
「花は 花は 花は咲く」
荒川静香さん
「誰かの笑顔が見える
悲しみの向こう側に」
現役を引退され、それぞれの道を歩かれていたんですね。
佐藤B作さん
「誰かを励ましてる」
真摯な姿から、一生懸命さが伝わってきてます。
生島ヒロシ
「報われず 泣いたりして」
生島ヒロシさんの見せるこの優しさはいったいなんなのでしょうか。声の色、つや、曲に合わせて少し上体をゆらしながら歌う姿、特に最後の「して」の部分には、生島ヒロシさんのとびっきりの愛を優しさを感じます。
西田敏行さん
「わたしは何を残しただろう」
「いつか恋する君のために」
顔をゆがめて今にも泣き出さんばかりの西田敏行さんには心を打たれます。情の厚い方だなとつくづく思います。
鈴木京香さん
DVDには、鈴木京香さんの3カットの黙礼のシーンが収められています。深紅のガーベラの花を顔の近くに、また頬にあて、涙にうるんだ目、口元のかすかな動き、表情の移ろいのうちに鈴木京香さんの万感の思いがたたえられています。時がしめやかに流れています。
そして、それは、涙ぐむ新沼謙治さんの、懸命に涙をこらえるシーンへと続いていました。