白洲正子『名人は危うきに遊ぶ』_特装本

白洲正子『名人は危うきに遊ぶ』 は、平成6年10月30日に、限定80部の「特装本」が「荻(萩?)生書房」から刊行されました。

「ヤフオク!」に
白洲正子『名人は危うきに遊ぶ』特装限定80部 直筆署名入 田島隆夫特織太引玉糸地機布装・総手漉和紙本(越前三椏紙)
の名で出品されていました。2017(平成29年)/06/04 に 4.4980円の値段で落札されています。

いま私の手元にあるのは、1995(平成7年)/11/25 に新潮社から発行された「普及版」(単行本)です。題字の字体と活字に、「特装本」名残をみてとることができます。「特装本」は精興社最後の活版刷によるものです。

白洲正子は、「あとがき」(210頁)に、
「精興社については、三宅菊子さんが『東京人』の一九九五年十月号にくわしく書いていられたが、平安朝以来、少しづづ姿を変えてつづいた日本の活字の、その中でも特に美しいとされている精興社の最後の活版刷で私の本ができる、ーーそう聞いただけで胸が踊った。」
と書いています。

「題字も装幀の布も、見返しの倭建命の歌も、田島隆夫さんの直筆で、一つ一つていねいに筆で書いて下さった。」

白洲正子『名人は危うきに遊ぶ』_題字


白洲正子『名人は危うきに遊ぶ』_見返し 01


白洲正子『名人は危うきに遊ぶ』_見返し 02

「見返しの倭建命の歌」は、「普及版」には書かれていませんが、田島隆夫さんが書かれた文字は、いとけない乳児が、心のおもむくままに、手足を動かしているように、のびやかです。健やかで、笑みを誘われます。うれしくなります。

このような光栄によくした白洲正子は幸せです。当然天稟あってのことです。

以下、その他の画像です。
白洲正子『名人は危うきに遊ぶ』_特装本