「地下足袋で歩きながら、つらつらと」私のへんろ道です。


今年はじめての本です。
辰濃和男『四国遍路』岩波新書
あれこれの本を拾い読みはしていましたが、一冊の本を通して読むのは今年になってはじめてです。第一刷は、2001/04/20 に発行されています。私の手元にあるのは、 2001/05/10 に発行された第三刷です。およそ十五年の積読を経て、ようやく日の目を見ることになりました。つい今しがた、父のつき添いで行った歯科医院から帰宅しました。待ち時間に読んでいました。南に面した暖かな日射しの射す待合室で、うつらうつらしながらの読書でした。

 菅笠と金剛杖は新しいものを買った。菅笠には「同行二人(どうぎょうににん)」と書かれていて、さらに
迷故三界城 悟故十方空 
迷うが故に三界(さんがい)は城 悟るが故に十方(じゅっぽう)は空
本来無東西 何処有南北
本来東西無し 何処(いずく)にか南北有らん 
と書かれている。迷えば狭い枠のなか、悟れば宇宙のただなかだ、風にまかせて歩くだけ、といった意味だろうか。
 お遍路の旅は、たとえひとり歩きでも、「同行二人」だという。いつもお大師さんがついていてくださるという意味で、それでは「お大師さんがついていてくださる」とはどういうことなのか。これをからだで知るまでには長い道のりが必要なのだ。(14-15頁)

辰濃和男さんの書かれた『四国遍路』は、私のへんろ道をはじめるにあたっての恰好の道連れです。はじまりは、「同行三人」です。私のすることはいつもこんなものです。