土門拳「三徳山 三佛寺 投入堂」

昨日、
◆「ほのかな煙のお線香 女人高野 室生寺」(株)アシベ工芸 謹製
について書き、土門拳を思い、「三徳山 三佛寺 投入堂(みとくさん さんぶつじ なげいれどう)」について思いをめぐらせた。

「三仏寺と西国」
土門 拳『古寺を訪ねて 東へ西へ』小学館文庫
奈良、京都と古寺巡礼を続けて、
数十の名建築を見てきたが、
投入堂のような軽快優美な日本的な美しさは、
ついに三仏寺投入堂以外には求められなかった。
わたしは日本第一の建築は? と問われたら、
三仏寺投入堂をあげるに躊躇しないであろう。(138頁)

 投入堂には、疑うことを知らぬ、重力に身を任せきっている者のもつ美しさがある。これは信仰である。投入堂は信仰をもつ者の静けさを湛えている。一つの疑念がそれを崩壊へと導く。
 投入堂は平安な一体の仏像である。「三仏寺に拠る平安時代の初期修験者集団」は、建築屋ではなく、行を行ずる者たちであった。一個の「懸造(かけづくり)の高架建築」と一体の仏像は、彼らにとって等価なものであった。投入堂は彼らの祈りだった。
 土門拳の写真をよく見るのは難しい。一枚の絵をよく見るのと同様の難しさがある。

サイトには、
「現在、参拝登山が可能です」
と書かれているが、
「投入堂へ参拝をされる際には、必ず二人以上、また両手が使えて運動のしやすい格好でおこしください」
との断り書きがあり、安全確保のために、とは承知しているものの、足枷となっている。適当な同行者がみつからず、「一人で心ゆくまでがいい、二人ではもう窮屈である」とは、私の我儘なのだろうか。