TWEET「お線香」
各寺院参拝時には、お線香を買うことにしています。「敬仏崇祖」用です。
いま手元に五種類のお線香があります。時系列順に並べると、
私は、
◇「興福寺 中金堂再建記念 奉祝 御香」山田松香木店 謹製
いま手元に五種類のお線香があります。時系列順に並べると、
◇「興福寺 中金堂再建記念 奉祝 御香」山田松香木店 謹製 ×2箱
◆「ほのかな煙のお線香 女人高野 室生寺」(株)アシベ工芸 謹製
◇「那智香 西国第一番 那智山 青岸渡寺」堺(有)むらかみ(那智「補陀洛山寺」にて購入)
◆「極上沈香 知恩香」山田松香木店
◇「五山」京都 松栄堂 謹製(嵯峨野「大覚寺」にて購入)
「五山」は精霊を炎と共に送る、京のお盆行事「五山送り火」にちなみ、最高白檀(びゃくだん)をベースに、深みのある香りに調合いたしました」
となります。
箸箱と見まがうばかりの「線香立て」を購入しました。これで、ときところを選ばず、自由の身となりました。
◆「ほのかな煙のお線香 女人高野 室生寺」(株)アシベ工芸 謹製
が好きです。
ほのかに甘く、絹にふれたときのような肌合の、高貴な香がします。きれいな紫色をしています。「女人高野」にふさわしい逸品です。無くなり次第、買い出しに向かいます。
◇「興福寺 中金堂再建記念 奉祝 御香」山田松香木店 謹製
焚き物を焚いたときの煙のような香がします。立ちのぼる煙の量も多く、単純な香だけに難しい仕事だったように感じています。記念の品です。特別な「御香」です。
◇「那智香 西国第一番 那智山 青岸渡寺」堺(有)むらかみ(那智「補陀洛山寺」にて購入)
は、
◇「興福寺 中金堂再建記念 奉祝 御香」山田松香木店 謹製
と同じような、香がします。説明書きには、「炷(た)いても俗臭なのは嫌悪を感じますが、奥床しい香は馥郁として邪気を払い、忽ち懐しき感動が湧き心身共に浄化されます」と記され、また「弊店は線香発祥の地堺において古くより之が製造を営み」との記載がみられます。戦国の世から江戸まで、堺は自治を守り、商業(港湾)都市として栄えました。。鉄砲鍛冶、千利休も堺出身です。
焚き物を焚いたときの煙のような香が、基本形のような気がしています。
◆「極上沈香 知恩香」山田松香木店
は、濃厚な芳香を放ち、ある程度の距離をおかないと、むせかえりそうです。桐の箱に入っています。葵の御紋が描かれています。
◇「五山」京都 松栄堂 謹製(嵯峨野「大覚寺」にて購入)
「五山」のみ、異なった香がします。白檀が使われているからでしょう。「最高白檀をベースに」と書かれていますから、白檀の香ということでしょう。
購入時には最も高価なお線香を買うことに決めています。無知な私は、品質は価格に反映される、と信じるほかありません。
香道という道があり、どうやら香は聞く(「聞香」ききこう / ぶんこう)もののようです。
正倉院には、聖武天皇が「蘭奢待(らんじゃたい)」と名づけた香木が保存されていて、足利義政、織田信長、明治天皇によって切り取られた跡があることは、人口に膾炙した話です。
微香微煙の線香は白々しく、アロマテラピーなるカタカナ語にはなじめません。しかし、花粉症の中学生の襟元に、ティートゥリーのエッセンシャルオイルを数滴たらすと、鼻が通ることは、何度か経験しています。受験対策です。
旅の思い出とともにあるお線香は貴重です。
幾本かのお線香を、閉め切った部屋でたき、煙(けむ)にまかれそうになり、あわてて窓を開けましたが、今度は熱風にとりまかれ、大あわてで窓を閉めました。煙にまかれる、特に人を煙にまくことにかけては多少の自信がありますが、還暦もすぎると、熱は枯れ、熱はまぶしく映り、邪魔者は消せ、ということです。(1434文字)