河合隼雄「相談の場では理論はすべて忘れる」


「何もしないことが、力を生む」
「相談の場では理論はすべて忘れる」
河合隼雄,谷川浩司『「あるがまま」を受け入れる技術 』PHP文庫(152-153頁)

 その点は、心理療法でも似ていると思いますね。僕らが心理療法を勉強している時によく言われたのは、「理論は勉強しなくてはいけない。しかし本当にクライエントを目の前にした時は、理論は全部忘れなさい」ということです。つまり、できるだけ本を読んで理論を勉強しなければいけないんだけれども、それにこだわるなということなんですよ。
(中略)
「ボーッと聴く」というのは、カウンセリングではとても大事なことです。実はボーッと聴いている背後にはすごいエネルギーが使われているのですが、それがなかなかできないんですね。エネルギーを使わないで単にボーッとしているのでは全然駄目です。それは素人と同じなんですね。