『飛ぶ夢をしばらく見ない』


「ウィングが欲しい」
と、少年がいうも、あまりにも唐突な話に、耳をかさない両親。

「日常の走行に、リアウィングは必要ないと思います。断固として拒み続けてください」

と、ご両親に加担する私。

「翼が欲しい」と、少年がいえば、私も心してかかりますが、自動車のリアウィングごときでは、お話になりません、と思いつつも、インターネットで検索してみると、

「リアウイングを取り付ける目的とはダウンフォースを発生させるためです。これは、車を地面に押し付ける力のことです。
理論上は F1 カーで天井を走ることも可能だそうです。」
と、書かれたサイトに出会い、あわてました。

レース後のインタビューで、アイルトン・セナは「神を見た」といっています。ラインホルト・メスナーも「神を見た」といっていることを、ドキュメンタリー映画、「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」の監督としてつとに高名な、龍村仁さんの著作で知りました。

神々の領域でのことです。神々が住まわれていることは容易に察しがつきます。
「ウィイングが欲しい」
高みにまで昇ってみたい。
『飛ぶ夢をしばらく見ない』
せめて夢の中だけでも、大空を翔けてみたい。
感染しました。発症しました。早速、P教授に相談してみることにします。一笑に付されて終わるのでしょうか。

タイトルは、山田太一さんのシナリオ『飛ぶ夢をしばらく見ない』から拝借いたしました。内容とは一切無関係です。