藤原正彦「なぜか美しい」

「この世は数学だらけ」
藤原正彦『祖国とは国語』新潮文庫
実はこの世のどんな現象にも数学がつまっている。しかもなぜか美しい。この不思議を、神を持ち出さずにうまく説明した人はまだいない。(116頁)



「ビュフォンの針」とよばれる確率の問題についての随筆で、以上は、その掉尾の三文です。その確率は 1/π になるそうです。
藤原正彦は、
「何の関係もありそうもない円周率が登場するのも意外だが、π 分の一という簡潔さが実に美しい。」
と書いています。

中学校二年生の教科書『未来へひろがる 数学2』啓林館(151頁)に、「数学展望台 ビュフォンの針」と題された読み物が載っています。子どもたちは、数学に美を感じるのでしょうか。執筆者の願いは通じるのでしょうか、という以前に、はたしてどれくらいの子どもたちが読むのでしょうか。はなはだ疑問です。