「今どきの子どもたちと交わす社交辞令」


ご近所の、高校受験をひかえた女の子と挨拶をかわし、ことのついでに、「解らないことがあったらみますよ。遠慮なくどうぞ」というと、何日もしないうちに、遠慮なく早速おこしになられました。「社交辞令だったのに」といって笑うと、どうやら社交辞令とは耳慣れない言葉らしく、あわてました。

偶然にも卒塾生と出会い、別れ際に、またみんなで集まる機会があるといいね、というと、早速連絡を取り合い、たちまちのうちに準備を終え、連絡がありました。費用は全額先生もち、と決めこんだうえでの狼藉ですから、「オレオレ詐欺」にあったようなものです。

就職が決まったら連絡します、大学に合格したらメールします、といわれれば、多少なりとも気になり、心配にもなりますが、春が過ぎ夏を迎えたころ、鈍感な私は社交辞令だったことにようやく気がつきます。

暗黙の了解のもとに交わされる、挨拶としての社交辞令について、子どもたちと私の間には、受けとめ方に開きがあります。子どもたちは社交辞令を都合よく解釈します。社交辞令は口にしない、社交辞令だと思いあらぬ期待はしないことに限ります。形式的、儀礼的なものからは遠ざかるのが賢明です。