TWEET「秋月はたなびく雲と化した」

「如何せん如何せん。夜もすがら、如何せん。『名月』をいただいて、如何せん」
 ゆえあって、昨夜は満月をよそ目に早く床についた。覚めた際には月を愛で、朝まで寝入ってしまえば、それはそれで致し方のないこと、と。これがものぐさな私の出した答だった。
 深夜0時過ぎに見た月は南の空に高くかかり光彩を放っていた。小ぶりな月だった。
 明け方5時半 月は西の空にあった。東の空が白みはじめていた。東西が見わたせる川岸まで歩いた。岸辺を打つ波音を聞きながら、西の空を見つめたり、東の空を見やったり、寝ぼけまなこで寒さに震えていた。西の空には薄雲がたなびいていた。秋月は膨れ、またかすみつつ、たなびく雲と化して、跡形もなく姿を消した。雲散霧消したのは明月だった。今朝は雲に分があった。
 またとない願ったりかなったりの、目覚めの時だった。