「倉本先生、カナダで日本語を教えるの巻」


 ーーみなさん、カナダに御一緒したのですね。
(中略)
 ーー何日ですか。
 世古 十一日間。ミスター・クラモトが来たって、ホテルの社長とか総支配人とかの歓迎会、三日もつづいたの。そしたら、先生、日本語教え始めたの。
 茶畑 とくに女性に教える。
 世古 日本語たって三つだけ。「ダイスキ」、「ネタイ」、「クソシタイ」。 
 ーーえっ! 
 世古 晩餐会で合唱させるの、女の子たちに。たまげたな。
 宮川 行く度に教えてくるそうですよ、それ。
 ーー奥さま、いらっしゃるでしょうに。
 宮川 ニヤニヤしてた。しょうがないなって顔して。(56)

(註)
(56) 仲世古善雄、相澤寅治、茶畑和昭、宮川泰幸  司会・今野洲子「(座談会)北の国・富良野・から(富良野紳士談義録)」北海学園北海道から編集室『倉本聰研究』理論社)197-198頁。

「倉本聰私論 ー『北の国から』のささやきー」

「第三章 3. その底流にあるもの」(19/21)より。