中原中也「盲目の秋 II」より
中原中也『山羊の歌』
盲目の秋
II
これがどうならうと、あれがどうならうと、
そんなことはどうでもいいのだ。
これがどういふことであらうと、それがどういふことであらうと、
そんなことはなほさらどうだつていいのだ。
人には自恃(じじ)があればよい!
その余はすべてなるまゝだ……
自恃だ、自恃だ、自恃だ、自恃だ、
ただそれだけが人の行ひを罪としない。
平気で、陽気で、藁束(わらたば)のやうにしむみりと、
朝霧を煮釜に填(つ)めて、跳起きられればよい!
今年は、「中原中也生誕110年」にあたります。
中原中也記念館