TWEET「良 識」

 いま第7波の最中(さなか)にあり、ピークも分からないままに、グラフは日々 急伸するばかりである。「社会経済活動」,「ウィズコロナ」の名のもと、施策らしい施策は、ほとんどとられていないのが現状である。感染症と馴れ親しみすぎているようなきらいがある。
 不要不急の外出をひかえるくらいの良識は、私にもある。
 2時間も読書を続けると、集中力を欠くようになる。第2ラウンド目の読書は、場所を移し、ファーストフード店の片隅ですることが多かったが、いまそれがかなわなくなった。回を重ねるごとに、集中できる時間が半減し、次第にストレスを感じるようになった。
 積極的な引きこもりは苦にならないが、それが半強制的になされると音を上げることになる。
 気分転換には散歩がいいとされているが、真夏の太陽のもとでの散歩は気後れする、それにもまして怖いのが、近所のお年寄りの方たちの、1時間、2時間と容赦なく続く、話し相手にされることである。よほど暇人に映るらしい。
「今後は、距離をおかせていただきます」
と、二人には話したが、いまだ強敵が残っている。
 ストレスにさらされるのは精神衛生上よくなく、常軌にもどした。
 お客さんの少ない時間帯に行くこと。見込みちがいで、もし混み合っていたり、大きな声でおしゃべりに興じている人たちがいる際には、早々に立ち去ること。これらは私の良識ではなく、普段からの心がけである。
 あえなく私の良識は潰えた。
 誤算だった。(601文字)