TWEET「天網恢恢」

 父と私は、同じ敷地内に別棟で暮らしている。
 父は、2020/09/09 に、「介護老人保健施設(老健)」に入所した。私にはテレビをみる習慣はなく、テレビはない。父は、NHK と地上放送と衛星放送の契約を交わしていた。
 2022/07/01、解約することを思い立ち、NHK「ふれあいセンター」に何十回となく電話をしたが、混雑していてつながらなかった。その日はあきらめ、翌日 受付開始時間と同時に電話をするとつながった。
「お父さまの場合、施設にテレビを持ち込んでいらっしゃいますので、地上放送は解約ではなく、住所変更になります。また、施設によっては、受信料が免除される場合がございますので、衛星放送の件とともに、施設にお問い合わせしていただき、私宛にご連絡ください」
とのことだったが、ここはひき下がる場面ではなかった。
「再び何十回となく、お電話するのは、時間の無駄で、とても納得するわけにはいきません」
というと、
「順番ですから」
という言葉が繰り返された。押し問答のすえ、
「施設には、こちらからお問い合わせをして、2022/07/04 の午後、ご連絡させていただきます」
ということになった。
 07/04 12:10 には、「名古屋放送局」の女性から連絡があった。
「『老健』さんは、受信料免除の対象にはなりません。また、衛星放送につきましては、施設にお問い合わせしてください。書類をお送りいたしますので、衛星放送をみることができないようでしたら、必要事項をご記入のうえ、返送してください。なお、今後は『名古屋放送局』にお電話をしていただければ、お待たせすることなく対応させていただきます」
とのことだった。施設に電話で確かめると、
「衛星放送はみることはできません」
とのお応えだった。
 NHK の応接の様子が次第に変わってきた。場面場面で機転をきかせて、とはとても思えず、マニュアルがあるのだろう。
 施設内に持ち込んだテレビにまで、受信料がかかるとは思わなかった。知っていれば、
テレビはありません」
といえば済むことだった。
「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉を思った。
ちなみに、
◇ 地上放送契約:2500円 / 月
◇ 衛星放送契約:1900円 / 月
である。結構なお値段である。
「天網恢恢疎にして漏らさじ」。NHK さんには、強い意志を感じた。(949文字)