TWEET「ちょっとかわった」

 起きると雨が降っていた。廣重の「大はしあたけの夕立」を髣髴とさせる雨脚だった。たいそうな量の降水だった。ぼんやりした頭で、しばらくの間 眺めていた。
 猛暑から解放され、ひと息ついた。その後、しばらくの間 雷鳴がとどろき、いま空にはぶ厚い雲が低く垂れこめている。
 シャワーを浴びて、さっぱりした。
 夜、書店に行った。この1年で、5回目のことだった。異例のことである。読みたい書籍のない、注文すれば10日もかかる書店に、未練はない。
「私は本を買う、というよりも、書店に行くのが好きなんですね」
とは、もう少しで80に手が届く、精神科医の言葉である。
「村上春樹が好きだな。でも、ちょっとかわってるなあ」
とは、意表をつかれ、
「似た者同士ということですね」
と言うと、声をたてて笑っていた。
 わき目もふらずに、絵本のコーナーに向かった。絵本のコーナーは、書店の奥まった一隅に設けられ、書棚で囲まれ、目隠しされた、隠れ家のようである。また、子ども用のソファーが並べてあり、至れり尽くせりである。
 5回目の絵本のコーナーだった。昨夜は、
◇ レオ・レオニ著,谷川俊太郎訳『フレデリック ー ちょっとかわったのねずみのはなし』 好学社
を買った。幾たび目かの購入であり、本も開かずにレジに行き、精算した。
 5月の下旬には、
◇ かがくいひろし『だるまさんが』ブロンズ新社
◇ かがくいひろし『だるまさんの』ブロンズ新社
を購入した。上記の絵本は、書店ではじめて知った。
 シリーズものである、
◇ かがくいひろし『だるまさんと』ブロンズ新社
は、冴えがなく、見合わせた。ナンセンスものである。
 姪の、生後11か月に満たない長女が、
◇ かがくいひろし『だるまさんが』ブロンズ新社
◇ かがくいひろし『だるまさんの』ブロンズ新社
をみて、笑った。目的は達成された。私には、それでじゅうぶんだった。
 姪夫妻に読んでもらいたい絵本もあり、
◇ レオ・レオニ著,谷川俊太郎訳『フレデリック ー ちょっとかわったのねずみのはなし』 好学社
は、そのうちの一冊であり、すでに送ってある。
 絵本にまつわる話はいくつかあり、それらについては、またの機会に書かせていただくことにする。
 年間3冊も買えば、立ち読みも、長居も許されるものと信じている。(916文字)