TWEET「後ろ手を組む」
私は後ろ手を組み、頭(こうべ)を垂れて人の話を聞き、また同じ姿勢で歩いている。決して、宮沢賢治を気取っているわけではなく、楽だからである。しかし、後ろ手を組んで人の話を聞くのは、相手に偉そうな印象をあたえ、失礼な行為に当たるそうである。
右手の上に左手を添え、前で組むのが正式である、とのことである。
私の場合、頭を垂れているから、偉そうというよりも、奇異な印象を相手にあたえているのかもしれない。私が手を前で組むように心がけても、きっとうつむいた姿勢はそのままであろう。私の、相手の話に傾聴している態度だから仕方がない。
相手の眼を見て話を聞く、といった離れ技は、私には恥ずかしくてできない。
まずマナーに則って手を前で組み、それでも変な人と思われているように感じたら、後ろ手を組む、楽な姿勢にもどそうと思っている。同じ変なと思われるならば、楽な方がいい。
「変な」は「ルール」をしのぐらしい。「変な」は稀有であり、希少価値があるならば、世間にそっぽをむけ続けようと思っている。そっぽをむくとは、そっぽをむかれることである。願ったりかなったりである。千載一遇の機会であると、とらえている。(490文字)