TWEET「試金石上の人」
今年の6月以降に書いた、「自由作文」の末尾に文字数を加えた。あまりにもみじめな数字に驚愕している。
小林秀雄、また井筒俊彦は、言葉が浮かぶのを待つ、と同じことをいっている。私も、言葉が浮かぶのを待つことがあるが、その間には、立ったり座ったり、寝たり起きたり、うろうろしたりと、とにかくやかましい。浮かんだ言葉を契機に、文章があらぬ方向へと進むことがあるが、私はそれを尊重している。
黙読とはいえ、頭の内では声が聞こえる。その意味において音読とかわらないが、音読中に違和感を覚えた箇所は、きまって推敲を要するところである。体に刻まれた日本語のリズムが、誤りを見逃さないのだろう。
作文が書けるかどうかは、私の試金石である。いまはお稽古中だが、「小鳥のさえずり」で終わることもじゅうぶんにあり得る。
何事をするにつけ、私に欠けているのは、緊張感と覚悟である。(378文字)