「七夕の日に」
小林さんはこの五年あまりの間に大病を患い、何度かの手術を受け、さすがに衰えは隠せませんでしたが、その勢いとでたらめぶりは昔のままで安心しました。小林さんほど人生を愉快に遊びたおした人は珍しく、小林さんの、老・病・死は、いまだに考えられません。障がいを抱えた方たちが営まれている近所の喫茶店で、三時間をゆうにこえる長居を決め込み、とんでもない話をしていました。別れ際には、「これから困ったときにはお母さんといっしょに、本多君のところへくるで頼むぞ」と脅迫されました。「居留守は使うなよ」とも脅されました。
とんでもない七夕の日を過ごしています。会いたさ見たさがつのって、七夕は一年に一度くらいがちょうどいいようです。