「メールは性急です」


つれない仕打ちをうけた私は、Kさんに、
「黙して語らず、ですか。あまりにも大人気なく、賢い人のすることではありませんね。」
とのメールを送りました。そして今、少なからず後悔しています。

手紙と違ってメールは性急です。何日かの時をおいて、というわけにはなかなかいきません。返信を待つ相手の顔が目に浮かびます。メールは生物であって新鮮さが求められます。ラインなるものは、おしゃべりに近いものでしょうから、会話に匹敵する言葉上の過ちが頻繁に起きていることと思います。「速記録」として後々まで残ることを考えると、危うきには近よらないのが賢明です、とはオジさんのたわ言なのでしょうか。


今にして思えば、
「黙して語らず、なんですね。大人気なく、いただけませんね。」
と送ればよかったと後悔しきりです。が、後の祭りです。

落語は「ことば」作品であり、小説は「言語」作品ですが、「言語」にも演奏のような一回限りの取り返しのつかない面があることは否めない事実です。

追伸:

Kさんは、いぜんとして「黙して語らず、です」。沈黙を決めこんだままです。