「白露の日に_初秋の湿原へと向かう道すがら」

 いま白い道を歩いていると思った。湿原へと向かう、林間につけられた小径を、ひとり歩いているときのことだった。利休の歩いた道だと思った。ひき返すことのできない道だと思った。それしき、と思えばそれしきのことだった。

「白露の日に_初秋の湿原へと向かう道すがら」 
 今日も、白い道を歩いているように感じた。ひき返すことのできない道だと思った。散策の趣向がかわった。私が秋草になった。過去もなく、未来もなく、今もなく、時と同調しているように感じた。木道上でも同じ思いにかられた。
 いつ刷り込まれたのか、刷り込みから解かれつつあるのか、とまれ心は安らけくある。