「小林秀雄と事実の誤認と」
山下裕二「冬景山水図」
赤瀬川原平×山下裕二『雪舟応援団』中央公論新社
うさん臭く、鼻持ちならない文章である。この夏出会った悪文の最たるものである。おしゃべりに過ぎ、言葉に責任のもてない山下裕二の品位を疑いたくなる。
以下、氏が、小林秀雄「雪舟」から引いた一節である。
事実誤認は、いくつかある。(後略)」(87-88頁)
私にとって、小林秀雄の「事実の誤認」は、とるに足らない、瑣末なことである。私の関心は、小林秀雄の眼に映った美であり、その抜き差しならぬ言語表現にある。言葉が美に昇華するころ合いにある。
この件に関しては、考証家のいたずらな「誤認」としか、私には映らない、とだけ申し上げておく。