TWEET「曇り時々晴れ」

すべてはここに端を発した。以下、2021/06/03 の季節外れのブログである。

TWEET「野分立つ」
 野分立ち、今夜半から荒れ模様の予報である。
『風立ちぬ』、秋草は風に吹かれるままに、葉擦れの音が聞こえる。
 春愁秋思といえば、一休かと思い、
◇ 水上勉『一休』中公文庫
を手にし、また良寛かと思い、
◇ 水上勉『良寛』中央公論社
をしばし手に取ったが、読むまでにはいたらず。
 気象も手伝ってか、迷宮入りした。
追伸:『徒然草』を読むことにしました。秋の夜長に古典事始めです。

 気まぐれで書いた追伸から駒が出た。そして、いまに至っている。通読を旨とする、また初読後に間もなく再読という読書習慣が身についた。この間(かん)の読書体験は貴重だった。

◇ 兼好法師,小川剛生訳注『新版 徒然草 現代語訳付き』 角川ソフィア文庫
◇ 世阿弥,竹本幹夫訳注『風姿花伝・三道 現代語訳付き』 角川ソフィア文庫
◇ 清少納言,島内裕子訳校訂『枕の草子 上,下』ちくま学芸文庫
◇ 兼好,島内裕子校訂訳『徒然草』ちくま学芸文庫
◇ 高田祐彦訳注『古今和歌集 現代語訳付き』 角川ソフィア文庫
◇ 井上靖『本覚坊遺文』講談社文芸文庫
◇ 白洲正子『西行』新潮文庫
◇ 白川静『初期万葉論』中公文庫
◇ 中西進『古代史で楽しむ 万葉集』角川ソフィア文庫
◇ 二宮敦人『最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常』新潮文庫
◇ 小林秀雄『本居宣長 (上,下)』新潮文庫
◇ 小林秀雄『モオツァルト・無常という事』 新潮文庫
◆「実朝」,「西行」,「平家物語」

◇ 高田祐彦訳注『古今和歌集 現代語訳付き』 角川ソフィア文庫
を読み終えるまでに 7日かかり、
◇ 小林秀雄『本居宣長 (上,下)』新潮文庫
の初読、また再読には 25日を要した。
 脳内で落ち着くまでには多少の時間が必要だろう。
「曇り時々晴れ」、晴れ間がのぞく時間帯があってよかった。「雨読」はやりきれない。

山村修『増補 遅読のすすめ』ちくま文庫
「緒方洪庵の塾で、塾生たちには昼夜の区別がなく、蒲団をしいて枕をして寝るなどということは、だれも一度もしたことがない。読書にくたびれて眠くなれば、机に突っ伏して眠るばかりだったと、『福翁自伝』に書かれていたのを思い出す。これが書生の読書である。」
 これに対して、倉田卓次の読書は「社会に出ている人」、「特殊ではない一人の生活人の読書」である。「そこに生活人の読書の手本を見たように思った。」(111頁,144頁)

 大学予備門(第一高等中学校、後の第一高等学校)へと進んだ正岡子規と秋山真之(さねゆき)の読書は、「書生の読書」を地で行くものだった。(司馬遼太郎『坂の上の雲(一)』文春文庫
 それに比し、時ところを選ばず、読み散らかしている私の読書は、年甲斐もなく、「生活人」のそれではなく、「書生っぽの読書」とでもいえる亜流のものである。やむに止まれず、救いようのないものと諦めている。

次回は、
河合隼雄『明恵 夢を生きる』京都松柏社
を予定しています。「書生っぽの読書」を続けます。