「P教授より『リルケの時間』」

「コクトーは当時の自分について、「沢山のことを知っていると思い込み、うぬぼれた青春の手の施しようのない無知の中を生きていた。名声が私に勘違いさせ、挫折よりも質の悪い名声があることを、この世のすべての名声に匹敵する一種の挫折があることを知らなかった」と振り返っている。
 ずっと後になって、毎夜遅くまでランプが灯っていた部屋の住人がリルケだったことを知り、その頃のリルケに遙かなる友情をコクトーは抱く。リルケの部屋のランプが灯っているのをかつて見たことがコクトーを慰める。しかし、当時は、その灯りがその下で自分の思い上がりを焼き尽くせという合図だったことを理解することはなかった。」

「中川一政は50代半ばで、『リルケの時間』に気づいたわけです。」

「つまずきの石」は、いたる所に転がっていそうですね。
どうもありがとうございました。