「バックハウス / モーツァルト・リサイタル」
「バックハウス / モーツァルト・リサイタル」ユニバーサル ミュージック クラシック
「ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331(300i)《トルコ行進曲付き》」
一つ一つの音をいとおしむようにして弾くバックハウスの姿がしのばれます。とげとげしたところがなく、丸みを帯びた音は、障ることなくまろやかに響きます。これを「円熟味」と呼ぶのでしょうか。
バックハウスのピアノによって、はじめて聴いた私にとっては、バックハウスの「聴衆に媚びるところのまったくない剛毅で堅固な演奏ぶり」こそがすべてであって、「剛毅で堅固な演奏」から離れることができません。バックハウスの演奏はかけがえがなく、他のものにはどうしても違和感を覚えてしまいます。
なお、かぎ括弧内の言葉は、CDジャケット内の寺西基之さんの解説からの引用です。