長谷川和夫『認知症でも心は豊かに生きている ー 認知症になった 認知症専門医 長谷川和夫の 100 の言葉』中央法規

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長谷川和夫『認知症でも心は豊かに生きている ー 認知症になった 認知症専門医 長谷川和夫の 100 の言葉』中央法規
見開き1ページの、右頁に「100 の言葉」が、左頁に、その解説が付されている。前著の、
◆ 長谷川和夫,猪熊律子『ボクはやっと認知症のことがわかった / 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』KADOKAWA
に比し、より実践・実用的な内容となっている。簡単に読め理解もできるが、言うは易く、ということである。しかし、知っていることと知らないことの間には、大きな懸隔がある。また、カウンセリングと重複することも多く、参考になる。
 繰り返すが、認知症は自分自身の問題である。参考図書として心に留めておいていただきたい、と思う。


◆ トム・キットウッド&キャスリーン・ブレディン著,高橋誠一監訳,寺田真里子訳『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと / パーソンセンタードケア入門』筒井書房
◆ トム・キットウッド著,高橋誠一訳『認知症のパーソンセンタードケア』クリエイツかもがわ

「パーソン・センタード・ケアは、その人を中心にしたケア、その人の視点に立ったケア、その人の内的体験を理解するケア、その人らしさを大切にするケア、の4つの理念から成り立っています。ちなみに、3番目の内的体験の理解とは、どのようなことを考え、何をしたいと思っているかを理解することです」(139頁)

「何ができるかではなく、存在すること。つまり『doing』ではなく『being』を感じて、一緒に歩み、喜び、学ぶ。これがパーソン・センタード・ケアの姿勢です」(140頁)

「トム・キットウッドは、認知症は脳の恐ろしい病気だという疾患中心の見方を「オールドカルチャー」と呼び、もっと全人格を総合的に捉えた暮らしにかかわるもので、認知症はケアの質により大きく変わるとする見方を「ニューカルチャー」と呼びました。そして、医学モデルに基づく従来の捉え方を見直すべきだと訴えました」(長谷川和夫,猪熊律子『ボクはやっと認知症のことがわかった / 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』KADOKAWA 172頁)

「最近ではスピリチュアルケア(魂のケア)という言葉も介護現場で使われます。相手の心の奥底を理解して信頼関係を作り、一緒にいることを喜ぶケアという意味だと思います」(141頁)

パーソン・センタード・ケアの逆は『悪性の社会心理』といいます。急がせる、できるのにさせない、途中でやめさせる、無理強いする、無視して放っておく、この5つです」(142頁)

「トム・キットウッドは認知症の人が求めている心理的なこととして5つの要件を挙げました。なぐさめ、愛着、帰属意識、携わること、そして自分らしさです」(131頁)

「人間は本来何かに従事すること、携わることが個人的に意味のある方法で生活に関与することなのです。その逆は退屈、無為、無関心です」(134頁

 やはり、何かと地方都市は不利だと思う。人材不足と相俟って、保守的で、旧態依然としている感が否めない。