河合隼雄「『神用語』を話す」
30 -「神用語(しんようご)」を話す
河合隼雄『「老いる」とはどういうことか』講談社 +α 文庫
「アイヌの人たちは、老人の言うことがだんだんとわかりにくくなると、老人が神の世界に近づいていくので、「神用語(しんようご)」を話すようになり、そのために、一般の人間にはわからなくなるのだと考える、とのことである。
老人が何か言ったときに、「あっ、ぼけはじめたな」と受けとめるのと、「うちのおじいちゃんも、とうとう神用語を話すようになった」と思うのとでは、老人に接する態度が随分と変わってくることであろう。
「神用語」いう言葉を考えだしたアイヌの人たちの知恵の深さに、われわれも学ぶべきである」(83頁)
「言葉」にかぎらず、「行住坐臥],「立ち居振る舞い」についても同様に考えれば、ずいぶんと受け止め方が変わってくる。
「尊厳」に関わる問題である。