TWEET「今東光和尚の身を案ずる」

瀬戸内寂聴,池上彰『95歳まで生きるのは幸せですか?』PHP新書
 出家のとき、今東光師から直接いただいた教えは、
「独りを慎みなさい」
 ただそれだけです。
(中略)
だれも見ていないと思っても、仏さまはすべてを見ていらっしゃいます。だから独りを慎んでおれというのが今先生の教えです。そのかわり、仏さまはいつも見守っていてくれますから、何も恐れるものはありません。
(中略)
私は仏さまの子となることで、決して揺るがぬ自信を手に入れることができました。余生を生きるのがとてもラクになり、毎日が楽しくなったのです。(24頁)

「独りを慎みなさい」とは、東光和尚の言葉としては、まぶしすぎて、どこかお加減でも悪いのか、と心配になります。


寂 聴 出家したとき、今東光先生は「頭剃らなくていいんだよ」と、おっしゃったんです。でも私は「髪を剃ります」って言いました。「私はいい加減な人間だから、形からちゃんと入らないと続きません」って。そして頭を丸めたんですよ。そしたら今度は「下半身はどうする?」と、おっしゃった。「断ちます」って言ったら、「無理に断たなくていいんだよ」って(笑)。
池 上 それは今東光さんらしいお言葉ですね。
寂 聴 「いえ、私は駄目な人間だから、断つものを断たないと続きません。だから断ちます」って言ったら、「ああ、そうかい」って。(135頁)

池上彰は、
「それは今東光さんらしいお言葉ですね」
といっているが、私としては、まだまだお加減が心配で、
「ああ、そうかい」
と、こともな気にいってのけたところに、和尚らしさが垣間見え、少し安心した。
 文学者の生き方に禁則はない。しかし理解者は、少数にかぎられる。