「世界地理_事故多発地域 」
その兆しは、夏期講習の終わりころからみえはじめました。授業中に言い間違えが頻発し、子どもたちから指摘され、その都度謝まりあわてて訂正することを繰り返しています。しばらくの間は、そんな言い間違えをしたとはとても考えられませんでしたが、それも度重なると、非は私にあることに疑いの余地はなく、弱りはてています。不思議なことに症状は世界地理の授業に多発しています。これといった病因は見当たらず、治療法もなく、自然治癒力だけが頼みです。
いよいよこのあたりが身の引きどころかと意気消沈し、今月いっぱいでリタイヤし、塾を閉じようかと考えていると子どもたちに言うと、「間違いは、私たちが指摘するからいい」との、なんとも悲喜こもごものご返事をいただき、複雑な思いを抱いています。子どもたちの応援頼みの授業はいかにも心もとなく、今後の成り行きを観察しながら、引き際だけは誤らないようにと自分にいい聞かせています。当年とって五十五歳、白秋の時季を迎え、来し方行く末を真剣に考えています。