荒井魏「良寛の死」

荒井魏『良寛の四季』岩波現代文庫
「看病には貞心尼、弟子の遍澄らが当たった。だんだん衰弱が目立ってきた良寛さんは、薬も受け付けなくなる。貞心尼が嘆くと「うちつけに飯(いひ)絶つとにはあらねどもかつ安らひて時をし待たむ」と、詠んでいる。自然体の生き方そのままに、死の覚悟を固めたのであろう。
(中略)
 与板から駆け付けた由之や貞心尼らが見守る中で、遍澄の膝を枕に亡くなったのは一月六日の午後だった。さほど苦しみはなく、眠るように息を引き取った、と伝えられている」(188頁)

『墨美 山本空外 ー 書論・各観 1979年7月号 No.292』墨美社
 我ながら嬉しくもあるか弥陀仏のいますみ国に行くと思へば

 生死一如、良寛に死への怖れはなかったであろう。安らけく、穏やかな最期だったことを思う。