阪田寛夫, V. ベレストフ, 長新太『だくちる だくちる―はじめてのうた』福音館書店

阪田寛夫, V. ベレストフ, 長新太『だくちる だくちる―はじめてのうた』福音館書店
以下、【内容紹介】です。
「人間が生まれるずーっと前に、イグアノドンがいた。イグアノドンはさびしかった。ある日、だくちるだくちる音がして、プテロダクチルスが飛んで来た。イグアノドンはうれしかった。だって、それは初めての歌だったから。」

イグアノドンだけでなく、ぼくも、
「うれしくて
うれしくて
どんどん うれしくて」
「もう どんどん ばんばん」
うれしくなってしまいます。

「ちいさな ともだち
みつけた」
の頁と、
「でも イグアノドンは うれしかった
だくちるを きくと うれしかった」
の頁は、もうたいへんなことになっています。


 長新太さんの筆致や色づかいは大胆で勢いあまって、すてきです。長新太さんは「ほとんど天才」と称されることがあります。「天才」はやりきれませんが、「ほとんど」と形容されるところが、なんとも愛嬌があっていいですね。「ナンセンスの神様」との異名もおもちです。
 私は数ある絵本のなかで、『だくちる だくちる―はじめてのうた』が一番好きです。
 また、長新太さんが亡くなられておよそ一年後に出版された、
◇『飛ぶ教室 第7号(2006年秋)特集「ほぼまるごと一冊 長新太」』光村図書
 を大切にしています。
「『おしゃべりなたまごやき』『ちへいせんのみえるところ』『キャベツくん』『みみずのオッサン』……素敵な作品をたくさん遺してくれた,長さんって一体どんな人? この本を読むと,長新太の作品と人間の魅力について色々なことが分かります。」
 もし、『だくちる だくちる―はじめてのうた』の図柄の Tシャツがあれば、アロハシャツを羽織れば、「新型コロナ禍のはじめての夏」を凌げそうな気がしています。
 思いがけずも、梅雨入り前の「えほんしゅうかん」の様相を呈してきました。