阪田寛夫,工藤直子「『どれみそら』への郷愁」

阪田寛夫,工藤直子『どれみそら―書いて創って歌って聴いて』河出書房新社
はじめに、【内容紹介】です。
「『サッちゃん』をはじめ数々の名曲を生み出した著者が、音につつまれ、音楽を朋として歩んだ思い出や心の底を流れるドレミソラの響き、音の記憶を語りそして綴る。」

● 小さい頃、僕のまわりには「どれみそら」が飛びかっていた ●
「また、小学校に入ってびっくりしたのは「あいうえお」を皆で音読したときです。」(9頁)
「小学校に入ったら皆もう「あいうえお」を知ってて、五十音図を横にも言えるんです。しかも調子あわせて、みんなが突然(大阪弁で)うたいだした。♪ あ・か・さ・タ・な・ハ・マ・や・ら・わ と。「た」で少し、「はま」でうんと高くなり、「な」と「わ」で下がる。「ドドドレラ.ソソドレラ.」って感じ。ちょっとついていけないなあと、子ども心に思いました(笑)。」
(9頁)
「こんなふうにあえて西洋の音階に翻訳してみると、みんな「ドレミソラ」の中のどれかを使っているんですね。」
「さっきの「あ・か・さ・タ・な…」なんかは、ぜいたくに四つも使っています。」
「子どもたちが遊び歌にフシをつけて歌うと、みんなこの五音(ドレミソラ)におさまります。ファとかシは、子どもの自然なフシまわしの中にはないみたいです。
 いわば日本のわらべ歌の基本音というか。
(後略)」(10頁)

● ドレミソラにファとシが加わると、ちょっと気取る ●

「西条八十作詞・成田為三作曲『かなりや』(「赤い鳥」大正七年十一月)」
「そのあと突然、三拍子に変わって西洋風になります。で、♪ 月夜の海に浮かべればーァー、この「ァー」が、旋律(ふし)の中で初めて出てくるファの音なんですね。この部分を歌うと、なんか、ちょっとすまして表情まで気取ってくる(笑)。」(12頁)


 私にとって、音楽の世界にお住まい方々のお話は、いつも新鮮な驚きに満ちています。
◇ 團伊玖磨『パイプのけむり』朝日新聞社
の項が書きかけのままになっており、申し訳なく思っていますが。團伊玖磨さんからもたくさんのことを教えていただきました。