「 たとえ理解は行き届かなくとも_越知保夫 読書覚書」

つい今しがた、
越知保夫「好色と花
          ーエロスと様式」(339-370頁)
越知保夫「すき・わび・嫉妬」(371-381頁)
若松英輔(編集)『新版 小林秀雄 越知保夫全作品』慶應義塾大学出版会
を読んだ。

「好色と花」
は、1963年に筑摩書房から刊行された、越知保夫の遺稿作の書名になっている作品であり、期待して読んだ。
「すき・わび・嫉妬」
は、
「好色と花 ーエロスと様式」
を補完するものである。

 越知保夫は、日本文学史の流れは古今和歌集によって極まった、といい、それは、「世界の様式化であり、有情化である」(340頁)というが、多分に逆説的である。いかにそれが逆説的であるにせよ、日本文学史の流れが極まった、ということは、日本人のこころのありようが決定づけられた、ということである。
 たとえ理解は行き届かなくとも、大変なことが書かれていることだけは解った。早速再読を促されている。
 私における「読書覚書」とは、「再読覚書」であって、「再掲覚書」である。
 なお、若松英輔は越知保夫の範疇の人であり、越知保夫は若松英輔の意中の人であることに間違いはない。