「夜ふけの交差点での交感」


 夜、たとえば、近所の ある小さな交差点で、信号待ちをしている対向車のヘッドライトの光が目に入ってまぶしいとき、私は自分の車のヘッドライトを消すことにしています。きっと相手もまぶしいんだろうなという私なりの配慮であって、私もあなたと同じようにまぶしいおもいをしていますので、ヘッドライトを消していただけないでしょうか、というささやかな願いでもあります。私のささやかな願いがかなえられるのは、年に数回あるかないか程度のことで、年に数回程度のことですから、願いがかなったときには、うれしくもあり、ありがたくもあります。

 インタラクティブ、双方向ということがいわれはじめて久しくなりますが、夜ふけの道路をはさんでの交感は、いつまでたってもワンウェイであり、一方通行であって、お互いのやりとりが成立するのはごくごく稀なことです。つらつらと考えれば、これも私の哀しきひとり遊びというだけのことなのかもしれません。