藤原敏彦「なぜか美しい」

一昨日、
◇ 西成活裕 著,郷和貴 聞き手『東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』かんき出版
を読んだ。「e-hon」のメルマガで知った。この類いの書籍が15万部もの売り上げとは異例な気がした。職業柄やりすごすこともできず注文した。
 四時間ほどで読み終え、その後中三生の女の子にさしあげた。「超わかりやす」過ぎ、その先のことばかりが気になった。が、「ピタゴラスの定理」を「人類の宝物」と評する等々、数学は「なぜか美しい」ことを再認識した。


中学校の数学の教科書、
『未来へひろがる 数学1,2,3』啓林館
の表紙には、
「Find the beauty in Math.」
と書かれています。二年前の改訂時に記載されました。うかつなことに一昨日はじめて気づきました。
 時折発する、「数学は美しい」との私の声は、むなしくこだまするばかりで、中学生の子どもたちは、いっこうに「美」に無頓着です。

藤原正彦「なぜか美しい」
藤原正彦『祖国とは国語』新潮文庫
実はこの世のどんな現象にも数学がつまっている。しかもなぜか美しい。この不思議を、神を持ち出さずにうまく説明した人はまだいない。(116頁)

「ビュフォンの針」とよばれる確率の問題についての随筆で、以上は、その掉尾の三文です。その確率は 1/π になるそうです。


藤原正彦は、
「何の関係もありそうもない円周率が登場するのも意外だが、π 分の一という簡潔さが実に美しい。」
と記しています。

中学校二年生の教科書『未来へひろがる 数学2』啓林館(151頁)に、「数学展望台 ビュフォンの針」と題された読み物が載っています。子どもたちは、数学に美を感じるのでしょうか。執筆者の願いは通じるのでしょうか、という以前に、はたしてどれくらいの子どもたちが読むのでしょうか。はなはだ疑問です。