バーンスタイン「田園」

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

「究極の指揮者はふらない」ということで、バーンスタイン「田園」を買いました。言葉に頼らざるをえない自分を情けなく思っていますが、紛れもない事実ですので、受け容れるしかありません。

茂木健一郎 / 江村哲二『音楽を「考える」』ちくまプリマー新書
江村 音楽の世界なら、バーンスタインが言っているけれども「自分が指揮者になれるか、自分に指揮者の能力があるかどうか、など考えたこともなかった。ただただ音楽が好きで好きで仕方なくて音楽をやっていた」と。実際にウィーン・フィルのコントラバス奏者から聞いたのですが、バーンスタインの振る指揮棒は、全然テクニックがないらしい。でもそれでいいんだと言う。「テクニックなんて全く持ってない。ただハートがすばらしい。あの人が来るだけで、あのハートに酔っちゃうんだ」と言っていました。
茂木 バーンスタインについては同じような話を僕も聞いたことがある。前に立つだけで音楽が変わっちゃうって言いますね。
江村 あの人が出てくると棒なんてものは、はっきり言っていらないんだって(笑)。
茂木 江村さんのご友人の大野和士さんも、先日私が司会をしているNHKの番組( 『プロフェッショナル 仕事の流儀』)に出られたときに、「最後は指揮者は振らなくていいんだ。究極は、じいっと彫像のようにそこにいるだけで音楽が変わるということが指揮者の理想なんだ」と言っていました。

Amazon より
商品の説明
メディア掲載レビューほか
バーンスタイン指揮、ウィーン・フィルハーモニーによる、牧歌的な楽想が横溢し自然に対する讃美と伸びやかな感情に彩られた、標題音楽的な書法による巧みな描写が印象的なヒューマニズム溢れる《田園》と、愛らしいユーモアさえ感じさせる、古典的で小規模な第8番を収録。 (C)RS

トップカスタマーレビュー
5つ星のうち 5.0
モダンオケのすばらしさ・・・
投稿者 ルネ 投稿日 2013/10/7
 往時に大絶賛されていた全集のこの曲も8番とカップリングでこの値段ですか、いい時代になったものです。
 それはさておき、この演奏、この良さに触れたら古楽器演奏のものには戻れないかも・・・。モダンオケによる田園も数ある中で感銘を受ける演奏の一つがこのディスクです。作曲家がイメージしていた音の再現(原点回帰)という考え方を否定するものではありませんが、それから出発してプロの演奏家や指揮者が工夫を重ね改良続けてきた音がここには記録されています。何という芳醇さ!バイオリンの艶やかさ、低弦の厚み、ホルンの響き。
 バーンスタインの美的感覚は本当に鋭いですね。鋭いといってもカラヤンのように切れ味のある鋭さということでなく、人が美しいと感じる感覚をとらえる能力の鋭さです。ウィーンフィルの力もあるのでしょうが、第5楽章の表現のすばらしさは聞いて見なければ分からないでしょう(当たり前か)。ウィーンフィルとの全集では他の曲もすばらしいのですが、特にこれは良いのでクラシックなんか知らないって人にもぜひ聞かせてあげて欲しいです。(機会があれば・・・)
おすすめです。