フルトヴェングラー「バイロイトの第9」1951年7月29日

1951年7月29日
delta classics

 EMI盤でしか聴いたことがありません。今日中には手元に届きます。デルタ社さんの「バイロイトの第九」、とても楽しみにしています。
 マスタリング、リマスタリングは、臆することなくいえば「記録芸術」です。いかに技術が長足の進歩を遂げようとも、ゆきつくところは人の感性であって、創造力です。私には遠くおよびもつかない、かけ離れた世界のできごとです。
 演奏の一回性ということを思います。後世に遺そうという企図は作品を変えずにはおきません。まず、時が、ところが圧倒的に違います。これは、文化や自然全般についていえることです。本来の姿をそのままに遺すことは不可能です。人の手が加わります。後には擬似的なものが遺るだけです。自然は不自然なものになります。逆説めいた宿命です。


トップカスタマーレビュー
5つ星のうち 5.0
名演奏!!!名復刻!!!
投稿者 jimi-lee 投稿日 2007/1/28
形式: CD
素晴しい復刻である!!!
 ここ数年バイロイトの板起しのリリースが続き、食傷ぎみではあったが、このディスクは素晴しい音質である。オーボエ・フルートなど高音部は伸びやかになり、コントラバス・ティンパニなど低音部は膨らまずに引き締まり、リアルで熱気を帯びた音がスピーカーから突き出して来る。
 かと言って、変なデフォルメのない、自然でノーブルな美しい音色が聴かれる。
 他社既発売のものに比べ、更についたてを一枚取りはずしたような、眼前に迫って来る音像となっている。まさに、オーケストラの直前で聴く臨場感がある。
 元々音が良くないと思っていたバイロイトとは信じられない!!
 また、デルタ独自のノイズ除去により、レコードのトレースの際の物理的雑音は驚異的な少なさである。また、その処理による音質への影響は全く感じられない。
(当然、聴衆の雑音は残っている、また咳などのリアルなこと・・・)
 正規CD、レコードからの板起しにかかわらず、現在入手できるメディアの中で、トップクラスの音質である事は間違いない。
 迷うことなく、当ディスクを入手されることをお勧めする。
 42年ベルリン盤などとともに、デルタ社の素晴しい成果に最大級の感謝を致します。


5つ星のうち 5.0
これが決定版だ!
投稿者 BCJのファン 投稿日 2007/9/11
形式: CD
今日到着して聞いたが、驚いた!音についてのみ書くが、東芝盤から何重ものベールを取り払ったような音だ。
まず、低音が締まっていて力強い!弦が伸びやかで、緻密である。解像度がUPしていて、艶やかだ!コントラバスの音が腹にくる。木管楽器も金管楽器も鮮明に録られているのが分かる。フォルテでも歪みや音割れは全く無い!第3楽章は不気味さはなく、しなやかで美しい。
第4楽章は歌手の定位がピタッと決まっているし、ステレオ感すら感じさせる。前後の立体感があり、最近の録音にも負けないほど!
ブラインドテストをやれば、誰もあの録音だと信じないのではないだろうか?Deltaのスタッフ達に敬意を表したい。


5つ星のうち 5.0
鮮やかに蘇る名演奏
投稿者 エリック・プランクトン 投稿日 2009/9/2
形式: CD Amazonで購入
 演奏内容に関しては語りつくされているので、音質についてのみ書きます。
 今までは謎のワゴンセールとEMIのブライトクランク版のCDを聴いてきました。演奏が素晴らしいのは肌で感じ取れましたが、いかんせん音が・・・。ホールの外に漏れ聞こえてくるようなもこもこした音で、音の内部もスカスカの印象でした。しかも、木管の長いフレーズなど、マスターテープが劣化しているのか、にょにょ~、と不安定で、所詮「名演の記録」でしかないと思っていました。
 今回このCDを聴いて驚きました。音のなんと新鮮なことでしょう!やっとホールの中に入れた感じです。弦や管の出だしのアタックも明瞭で、音の厚みも申し分なく、それでいて決してぼやけた音になっていません。内声部までしっかり聞こえるので、スケールの大きな演奏に聴こえます。最後なども、今までは音が鳴りきっていないように思っていましたが、ちゃんと鳴っていることを発見しました。
 さすがに最新のデジタル録音にはかなわないと思いますが、十分に芸術として鑑賞しうるレベルにあると思います。バイロイトの第九の好きな方は買う価値ありと思います。
なお、私はモノラルの中央に凝縮した狭い音場が苦手なのですが、擬似ステレオではないにもかかわらず、このCDの音には広がりも感じ、聴きはじめて数十秒もたつとモノラルであることが気にならなくなりました。